大工とつくる家。川見建築

川見建築

ブログ

ストーリー。

 

皆さまこんにちは。

日々、家事特訓中の川見(弟)です。家事って毎日こんなにやる事があるのかと疲弊しています。世のお母さんは凄い。大変。

家事は女性の仕事じゃないと意識改革中でございます。すみません💦

こりゃ真面目にやりすぎると潰れてしまう。上手に抜きながらやろう。暮らしって大変で面倒ですねえ。

でもでもこの暮らしの基本「家事」を知る事で本物の設計・家づくりに繋がりますので日々が暮らしの研究です。

 

 

 

kawami kenchiku

 

 

さて本題、お仕事の方のお話し。

川見建築では3月10日にNew Openした店舗に家具を納品してきました。

 

【toconoma barber cafe space】トコノマ

理容室  &  カフェ

月〜金

16:00〜23:00

新潟市西区みずき野1丁目6-18

 

 

こちらのカフェスペースに設置する家具【カフェテーブル&ベンチソファー2台】の製作依頼でした。

オーナーは地元が一緒でこちらも兄弟で営業しております。20代の若い兄弟です。若いのに知識もあり志も高く、私ども刺激されっぱなしです。

 

依頼の際、

カフェテーブルに

お店のロゴマークを入れたいと!

「おい、がった大変だぜ、本気か!」と。

「がった本気だ!」と。

そんな会話は交わしておりませんが気持ちは伝わってきておりましたので、

「よしわかった!」と。

「おれ達に任せとけ!」と。

心に思い引き受けました。

 

そしたら「デカいんです」と。

「2,000×1,000のテーブル

2,000×600のソファーが2台

欲しいんだ」と。

(引き受けちゃったし、、大丈夫かな)

「お、おう、わかったょ👍」と。

 

この時、技術的にはイケると読んだ私たちでしたが、慣れない家具製作にどれほどの手間が掛かるかは読めておりませんでした、、、

 

 

そこからオーナー兄弟の想いとうちら川見兄弟のストーリーも加わってつくりあげていく事になります。

 

材はもちろん【スノービーチ】(前ブログ参照)。この依頼の為に新たに仕入れました。『地域の為になるお店にしたい』というオーナーの想いはすでにここから実現しています。地元新潟の森林の環境に好影響になります。

 

まずオーナー兄弟と川見兄弟の4人で材を選びました。(スノービーチは材の使い方で印象、表情がガラっと変わります。)

納品後に愛着を持って欲しくてわざわざ選んで貰いました。

 

そこからのデザイン、ディテールは全部お任せという事で川見兄弟に託されました。

 

 

テーブルから製作開始です。

板の目や節、柄の配置とロゴ位置を決める工程でうちら相当ぶつかりました。

 

「いやそれだとカッコわりー」

「いやそれだと使いにくい」

「わざとらしい」

「極端すぎる」

考えに考えます。

が考え過ぎれば行き詰まります。

そうなったら2、3日感覚を寝かせると落とし所が見えてきます。

お互い納得いくまでぶつかりなかなか作業は捗りませんでした。

でも自分たちが良いと思わないものには想いは乗っかりません。

どのお仕事でも私たちにはコダワるべきところです。

 

 

製作時間より板の配置決めに時間を費やしたでしょうか。

 

やっと天板がカタチになりました。

 

 

表情も出しつつ使い勝手にも考慮して、ビジュアルも「イイじゃん」て感じが理想でした。

 

 

イイじゃん!これならイケる👍

素直にそう思えました。

 

(あ、この天板は5枚の板をハギ合わせて1枚にしてあります。製作工程の写真がなかったので省きました。簡単に出来ちゃったようでも、板の形状出し、それぞれのミゾ加工、サネを入れての圧着、数十時間費やしております。この向き合う時間が思い入れの強さになるのかもしれません。)

 

今思えば、あそこに最も時間をかけた事が全てだった気がします。早く進みたいけど納得しないままでは進めない。[コダワるとこ]と[抜くとこ]がどこかって事は明確に見えていました。

 

 

さらに勝負どころはやってきます。

 

鉄脚と天板のバランス。こちらは外注に依頼しました。大まかなイメージとサイズだけ伝えて後は「あえてクチを出さない」。職人さんのセンスに惚れてましたんで「おまかせ」で。

 

結果、

さすがでした^_^クチを出さなかった私たちもナイス選択でした。笑

めっちゃいい!ルンルンです。

この太さ、バランス、どこにも見た事ない雰囲気出てる出てる。

こりゃいいぞ。鉄配管部材を利用してくれました。粗っぽさが男くさい。でも大きめの丸パイプが柔らかい印象を与えてくれてます。溶接痕やグラインダー痕は(ある狙いから)あえてそのままに残す事にしました。

 

 

(よしよし、いい調子だ)

(このまま気を抜かずにいこう)

 

 

さあテーブルに関して最後の勝負どころ。ロゴ位置決め。※重要です

 

実はつくり始める段階で何となくココらへんかなーなんて位置が2、3候補にありました。

 

製作が進めば入れるべき位置が見えてくるだろう思っていましたが、

 

いよいよそのタイミングが来てもしっくりくる位置が分かりませんでした。

 

ここから二人また悩みます。

 

(根拠をさがせ)

 

(あいつらは何をしたいのか)

 

(うちらが伝えたい事はあるのか)

 

もがきながらまた時間をおいて寝かせます。

 

 

(意味を考えろ意味を、)

 

 

原点に帰ってみたときかな。なんか決まりそうな感じがありました。

 

 

ロゴマークのこいつ。↓

「ハサミ」の意味合いもあれば「かんざし」「時計」の意味合いもあったな。

オーナー兄弟の今までの人生ストーリーからこの角度にも意味がある。はず。

 

 

私たちには「時計」としての話しが印象に強く残っていたので、

 

【時計の長針短針の交点をテーブルの中心にしよう】

 

いんじゃね?ストレートで良くね?

よしOK!決まりだ!

 

(ですからロゴマークの中心とテーブルの中心とは少しズレています)

 

シンプルに表現した結果、心にスッと納まりすんなり決まりました。

 

 

(よし進もう、)

 

 

まずは輪郭をうつします。

 

 

 

 

 

IMG_6885👈輪郭出しタイムラプス

 

(このとき、加工は問題ないと読んでいた文字細さが、実はハンパねえ細さだった事に気付きます。が、もう戻れないので気付かないフリして進みます。)

 

 

 

輪郭出し完了。

 

 

 

 

はいもう考えても何も変わりません。

 

手を動かすのみです。集中。やべー細い、息が詰まる、手が固まる、1箇所1箇所に小さい達成感。影の強さが 均一になるように深さを揃える、さすがにミスる、、 これがリアル、でも節との絡みがかっちょええ。

 

 

トータル10時間以上【彫り】と向き合いまして、

 

途中、弱気にもなりましたが

なんとかやり切りました。

 

 

極小文字も小径の工具を買い足して何とかカッコつきました。 

 

まだまだ達成感にひたるのは早い。

塗装と脚の処理が完了するまでもう少し続きますが、

長くなりましたね、、二編に分けますか。

 

 

ベンチソファー編へつづく。

 

(デンマーク生地kvadrad採用のストーリー)

 

 

 

kawami kenchiku

 

余談

【toconoma barber cafe space】是非行って下さいね。その際はオーナー兄弟とお話ししてみて下さい。ついでに私たちの想いも家具から感じてくれたら嬉しいです。